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2012年 11月 30日
旧田中家住宅<歴史的建造史跡>
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旧田中家住宅は大正12年(1923)に竣工した木造煉瓦造三階建の本格的洋風住宅です。そして、昭和9年(1934)に増築された和館の他、文庫蔵、茶室、池泉回遊式庭園、煉瓦塀により構成されています。

正面玄関と「TANAKA」の刻印
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田中家の歴史は農家であった初代の田中徳兵衛の跡を継いだ2代目徳兵衛が当時、大麦と豊かな地下水を利用した麦味噌の醸造を始めたところから始まります。四代目德兵衞(明治8年~昭和22年)は若くして亡くなった先代の跡を継ぎ、昭和の初め頃までに味噌醸造業・材木商として財を築き上げました。また家業のほかに、埼玉味噌醸造組合理事長をはじめ、南平柳村村長、埼玉県会議員を務め、昭和7年(1932)には貴族院多額納税者議員にも就任、地域振興のために尽力しました。
なお田中家は現在味噌醸造は行っていない(材木業は戦前に既に止めた)が、味噌卸売専門の㈱田中徳兵衛商店として高島屋を始め各地の有名デパートにて現在も盛業中。


田中家の住居であると同時に帳場を備えた事務所であり、賓客を迎える迎賓館としての機能も持っていた。(写真は玄関入ってすぐの帳場、いかにも洋風建築の入口が帳場とは珍しい。)
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1階応接室
少人数やちょっとした来客への接待はここで行われました。中心飾りのついた格天井の内装になっています。
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四代目田中德兵衞は大正10年(1921)から大正12年(1923)にかけて、当時としては非常にモダンで立派な洋館を建設しました。自ら材木商を営んでいたことから建築資材にはこだわりがあり、当時入手できる最高級の木材を用い、煉瓦も建築現場の近くで専門の職人に焼かせたと伝えられています。


玄関ホールより2階への階段
縁甲板張りの床、壁は白漆喰であり、階段は折り上げ敷きで3階まで続いています。
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                      2階ホール
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書斎
主人の書斎としてつくられた部屋です。菱形の中心飾りを持つ折り上げ格天井となっています。
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広縁 座敷 次の間
本格的な数奇屋風書院造りの和室で、接客機能を併せ持った部屋です。天井は屋久杉、床框は黒檀が使用されています。
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次の間 和室
和館の2階の14畳の和室は、書院が設けられ、床の間の床框は赤漆、床柱に檜のしぼり丸太を用い、建築にたずさわった木挽工の技術の高さがうかがえます。
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この写真に限らず、内装の装飾デザイン、調度品など細かで上質な細工が見て取れるe0101172_1104414.jpg

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                         帳場の奥の間には金庫
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大広間
迎賓を目的とした大広間で、眺望を重視して3階に設置されているのが、この建物の特色となっています。窓からは味噌醸造蔵、芝川、荒川、晴れた日には富士山が眺められたといいます。イオニア式のオーダーを西側隅部に飾り、中心に花弁飾りのついた漆喰天井があり、ジョージアン様式を基調としています。
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庭園
昭和48年の改修工事で、味噌醸造蔵の跡地につくられた池泉回遊式庭園です。和館や茶室から眺められるよう配慮されており、立派な池、枯山水、州浜、灯篭、手水鉢などを配し、建物の重厚さをさらに際立たせています。(この写真は、庭園側より左洋館、右和館)
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建物前を通る国道122号の騒音と大正時代の洋風建築、館内に入るとそこは昔の商家を思わせる帳場、なんとも不思議な空間です。味噌醸造、材木商として財を成し、お客をもてなす迎賓館の色彩を持つこの建物、勢いの象徴のように感じました。
今は、川口市の持ち物となり一般公開されていますが、保存状況もよく、当時の雰囲気をそのままに残している点でとってもレベルが高いと思います。




旧田中家住宅

所在地:埼玉県川口市末広1丁目7番2号
連絡先:川口市立文化財センター 048-222ー1061
休館日:月曜日、国民の祝日、年末年始
開館時間:午前9:30~午後4:30
交 通:埼玉高速鉄道「川口元郷駅」より徒歩8分、JR「川口駅」よりバスでも行けます。







(文中のコメントは公式HP及ブログ「思いつくまま・近代史遺産の旅」並びに館内掲示板、パンフレットを参照させていただきました。)

by konmasa1024 | 2012-11-30 10:02 | 歴史的建造史跡


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