2010年 11月 04日
小机家住宅<歴史的建造史蹟>
JR武蔵五日市駅から日の出町方面へ北上する秋川街道は小机坂を上っていく。いつかこの道を通った記憶がある。確か2年前にかつて中曽根元首相とアメリカレーガン大統領が会談した山荘を訪れた時の道です。そう言えば、辺りの雑木林にはちょっと不似合いな洋館があって、思わずシャッターを押したことを思い出す。
それが、今日訪ねる「小机家住宅」だったんです。
e0101172_9562858.jpg


小机家は江戸時代後期に山林業で財を成し、幕末頃から深川木場との商取引も頻繁に行っていた。 第7代当主小机三左衛門は深川木場からの帰途、明治の文明開化の銀座煉瓦街の洋風建築を見て刺激され、明治8年(1875)頃、竣工したと言われています。外観はコロニアル風の建物で、バルコニーを支える柱はドーリア式を模しているようですが、ギリシャ建築のような重々しさを感じさせない。

e0101172_9595488.jpg


良く見ると観音開きの防火扉、漆喰による外壁、どことなく土蔵のよう。現当主にお聞きして理解できたのですが、建設当時武蔵五日市は火事が多く、その影響を受けて耐火建築を考えたのだとか。


e0101172_10151820.jpge0101172_10153958.jpg


1階の入口を入ると、洋館なのに、そこは土間。 鏝絵(こてえ)のうさぎに迎えられ、少し高めの1階座敷は純和風のつくり。

玄関を入った土間、正面に鏝絵のうさぎ
e0101172_1026826.jpg


1階には仏間、居間があり普通の和風建築。使っている木は売り物にはならない節が入ったものとか木目が歪んだものなど、今で言う訳あり材木だと言うことです。自宅用には耐久力があれば見栄えにこだわらない三左衛門の質実剛健さが見て取れる。
e0101172_10453637.jpg



ヨーロッパの有名な作家に発注した「銀杏の葉と銀杏」の襖絵(左)、鎌倉彫の火鉢(右)など、先進と一流を目指していたんだろうなと伝わってくる。


e0101172_10551679.jpge0101172_10553159.jpg



2階へは小さくて急ならせん状の階段があった。畳1枚分のスペースで半周して2階に上がる。2階は柱のない広いスペース。それが土蔵造りなのだそうだ。

e0101172_19594185.jpg


1階は奥座敷にしか天井が張られていないため、2階の床板が1階の天井板を兼ねている。それほど丈夫な木材を使用した。そして今も置かれているアメリカ製のソファ・ベッド、気泡の入った窓ガラス、ドアノブなど明治時代には貴重品であったと思われる品々も見て取れる。

e0101172_2003642.jpg



敷地に入る門より右手に現当主の山小屋、正面に小机家住宅が見える。

e0101172_201478.jpg






明治初期 における文明開化の和洋折衷様式の特徴を知ることができる貴重な建造物である。
西洋での生活がどのようなものか、まだまだ一般には知られていなかったであろう明治の初期に、銀座で見聞した洋風建築に憧れ、何とか自宅に持ち込もうとした勇気ある意欲に感心します。また、当時はまだまだ和洋折衷と言えども、設計や建築には試行錯誤と工夫が必要であっただろうと想像できます。




小机家住宅

住 所: 東京都あきるの市三内 490

交 通: JR五日市線武蔵五日市駅より徒歩約10分

見 学: 通常一般には公開していません。毎年11月東京都文化財ウォークの期間中に特別公開されます。






(記中のコメントは現地掲示板及びHP「そのほかのあれこれ」による。)

by konmasa1024 | 2010-11-04 09:46 | 歴史的建造史跡


<< 高輪消防署二本榎出張所<歴史的...      カトリック築地教会聖堂<歴史的... >>